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【事例紹介③】合理的配慮申請書の書き方&学校との合意形成プロセス|学習障害支援の実践ガイド
【事例紹介③】合理的配慮申請書の書き方&学校との合意形成プロセス|学習障害支援の実践ガイド

こんにちは。

SOLE個別最適学習ラボ編集部です。

本記事は「合理的配慮獲得までの実践事例」シリーズ第3回です。

第2回の前回(くわしくは「【事例紹介②】保育所等訪問支援で見えた授業中の実態と支援の工夫」をご参照ください)は、保育所等訪問支援を通して得られた学校での実態と、合理的配慮につなげるための学校とのやりとりをご紹介いたしました。

第3回の今回は、合理的配慮申請書の中身と学校との合意形成プロセスをご紹介いたします。

合理的配慮申請書とは?基本の考え方と必要性

合理的配慮とは、障害のある子どもが他の子どもと同じように教育を受けられるように、学校側が必要な変更・調整を行う制度です。学校が提供する合理的配慮は義務とされていますが、申請書を整えて具体的な支援内容を示すことが、実際の支援につながります。

合理的配慮申請書作成のステップ【図解】

申請書は単にフォームに記入して提出するだけではありません。実態を整理し、なぜその配慮が必要なのかを論理的に説明することが大切です。ここでは、書き方のステップ毎に具体例とポイントを紹介します。
(参考)障害のある子の困り感を解決する「合理的配慮」とは?


① 事前準備:実態の整理と観察結果まとめ


まずは、授業観察や面談で得たデータを整理します。例えば、集中の傾向、書字の困難さ、ICT の操作状況などを整理し、支援の必要性を明確にします。

今回は、A君の学校訪問で見られた様子を簡単にまとめています。


② 配慮したいポイントの明確化


「何をどう変えるべきか」を箇条書きで整理しましょう。配慮内容が曖昧だと学校側が対応しにくくなるため、具体的な行動や状況を記載することが重要です。

どういったときにどのような支援があればお子様が学習に取り組みやすいかをイメージできるように書きましょう。

具体例

  • テスト時に書字負担を減らす
  • タブレットを使った情報整理を認める
  • 指示が理解できるように視覚提示を図示化する

③ その他支援に必要な情報

そのほか、実際の資料には弊社での支援の現状とそのときのA君の様子を記載しています。保育所等訪問のやりとりの中で、情報共有はなされるかと思いますが、「お子様の特性とこれまで受けてきた支援について」「支援が必要になる具体的な場面」「支援を行うときの目標と評価方法」なども記すといいかもしれません。

合理的配慮申請書作成時の重要ポイント

申請書作成にあたって、条件や状況に応じて適切な表現を用いることが大切です。

学校側が理解しやすい書き方のコツ


合理的配慮の内容はあいまいにせず、誰が読んでも「何をすればよいか」という行動イメージがわくように書くことが大切です。あいまいさがあると、実施に時間がかかったり、意思疎通がうまくいかないことがあります。

添付資料は何が必要?実態を裏付ける資料について


合理的配慮の申請書には補足資料を添付することで説得力が増します。診断書や支援実施の例など、今回は、東京都教育委員会のICT機器の活用事例集を補足資料として添付しました。合理的配慮申請書の提出は年度初めや学期末の面談のタイミングに合わせるとスムーズです。


▶参考

発達障害のある子どもたちのためのICT活用ハンドブック

学校との合意形成プロセス


合理的配慮の申請書を提出した後は、学校側と具体的な話し合いが必要です。ここでは合意形成の進め方やポイントを解説します。

合意形成とは?話し合いで大切なポイント


合意形成とは、双方が合理的配慮の内容を理解し、実施可能な形に落とし込むプロセスです。ここで目標や評価方法、見直しのタイミングなどを共有します。

担任・支援者と共有すべき内容の例


何度も申し上げますが、担任の先生や支援の先生と話す際には、以下の点を整理しておきましょう。

  • 日々の支援内容と本児の様子
  • 配慮を行う具体的な場面
  • 評価基準
  • 評価の見直しの時期・スケジュール

発達特性ごとの合理的配慮例


発達に凸凹のある子どもたちには個々の特性があります。
今回のA君の例は、学習障害(LD)や読み書き障害のお子様が学校で自分らしく学習を進めていくことにつながるのではないでしょうか。

診断名で一概にはできませんが、必要な配慮が異なります。

以下に挙げるのは一例です。

  • 読み書き障害:ICT の活用 (音声読み上げ、板書を撮影等)、拡大コピー
  • ADHD:環境調整 (学習内容の分割、必要に応じた別室対応等)
  • 自閉スペクトラム:視覚支援の活用、具体物の使用、実体験を増やす等

▶参考
合理的配慮等具体例データ集(内閣府)

合理的配慮例(文部科学省)

まとめ「合理的配慮申請書は支援プロセスの第一歩」


合理的配慮申請書は単なる書類ではなく、学校との共通理解を築き、継続的な支援につなげる大切なステップです。
保育所等訪問からの一連の流れを通じて、お子様が最適な教育環境を手にできるよう、学校・家庭・支援者が連携することが必要です。

次回予告

次回(記事第4回:事例紹介最終回)では、学校の反応とA君のその後について詳しくお伝えしていきます。
過去の記事はこちら
第1回 LD児A君について 
第2回 保育所等訪問での様子