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【事例紹介④】合理的配慮申請からが本当のスタート!A君の実践事例から見る支援のポイント
【事例紹介④】合理的配慮申請からが本当のスタート!A君の実践事例から見る支援のポイント

こんにちは。

SOLE個別最適学習ラボ編集部です。

本記事は「合理的配慮獲得までの実践事例」シリーズ最終回です。

第3回の前回(くわしくは「【事例紹介③】合理的配慮申請書の書き方&学校との合意形成プロセス|学習障害支援の実践ガイド」をご参照ください)は、合理的配慮申請書の中身と学校との合意形成プロセス をご紹介いたしました。

第4回の今回は、合理的配慮申請後のA君の様子・学校との連携で変わったことについてご紹介いたします。

A君が勝ち取った合理的配慮

合理的配慮申請後、学校で始まった支援

訪問を終えたあとの合理的配慮の申請について、学校の支援コーディネーターの先生が賛成してくれたこともあり、11月以降はタブレットを活用して、板書を写真でとること、タイピングでのノート作成を主に行っていくことになりました。

「できない」を補うのではなく、できる方法に

中学生まで、残り1年半をきり、中学校では小学校と同じ形の支援が難しいであろうことはみんな、わかっていました。そこで、「できない」を補う方法ではなく、A君本人ができることを増やしていくという方向性がいいのではないかと学校全体として結論がでた、とのことでした。

保護者・学校・支援者が同じ方向をむけた理由

今回、学校側が合理的配慮の申請に前向きに動いてくださった背景には、保護者・学校・支援者が「同じ視点」でA君の困り感を共有できたことが大きかったように思います。

保育所等訪問支援では、授業中の様子を実際に観察で確認しながら、

・どの場面で困っているのか

・なぜ困りが起きているのか

・どんな方法なら学びやすくなるのか

を学校と丁寧に整理していきました。

また、「配慮してほしい」という感覚的な話だけではなく、読み書きの困難さやICT活用に関する知見など、根拠となる情報も共有しました。

支援者だけ、学校だけが頑張るのではなく、本人を中心にみんなで同じ方向を向けたことが、今回の支援につながったのだと思います。

合理的配慮は学ぶための環境調整

合理的配慮は、「特別扱い」ではありません。
その子が他の子どもたちと同じように学ぶために必要な“環境調整”です。

A君の場合、板書を書き写すことに大きな負荷があり、「授業を理解すること」よりも「書くこと」に力を使い切ってしまう状態がありました。

そこで、板書を写真で残す、タイピングでノートを作成する、といった方法を取り入れることで、「学ぶこと」そのものに集中しやすくなりました。

“みんなと同じ方法で学ぶこと”ではなく、“その子が学びやすい方法で学べること”を重視したものが合理的配慮だといえるでしょう

実際の学校現場での合理的配慮の状況

学校での打合せ

支援コーディネーターの先生から校長先生にお話が伝わった際、タイピングでのノートテイクにはすぐに許可がおりました。板書を写真にうつすということに関しては、他児童の写りこみが懸念事項となりましたので、撮った写真を先生方に確認いただく方法で、合理的配慮をすすめていくこととなりました。

まずは、原学級で受けている英語・理科・社会から開始し、定着してきたら、支援級抜き出しの国語・算数でも実施しようという話になりました。

開始の日付はA君と先生で話して決め、2025年の11月の後半から始めることになりました。クラスメイトや支援級の友達には先生から説明がなされました。

ICT支援の実際と現場での工夫

A君の支援を実際に担当してくれる先生は固定ではありません。

そして、授業中に機器の使い方を教えると大幅に時間を使ってしまいます。

そこで、機器の操作自体は弊社で教えることとして、学校の先生には、「今使っていいよ」「写真をとろう」といった声掛けの支援をしていただくということになりました

通常級の中で合理的配慮を進める難しさ

合理的配慮という言葉は少しずつ広がってきていますが、実際に通常級の中で支援を進めていくことには、まだまだ難しさがあります。

特に「読み書き」に困難のある子どもに対しては、タブレットやICT機器の活用が合理的配慮の一例として挙げられています

文部科学省や自治体の事例集でも、タブレット端末の使用や写真撮影、パソコン入力などは具体例として示されています。

しかし、実際の学校現場では、
「どこまで認められるのか」
「周囲との公平性をどう考えるか」
「先生の負担にならないか」
など、多くの調整が必要になります。

また、何度もお伝えしましたが、合理的配慮は“特別扱い”ではなく、「本人が本来持っている力を発揮するための環境調整」です。

けれども、その考え方が十分に共有されるまでには時間がかかることもあります。

今回のケースでも、保護者・学校・支援者が何度も話し合いを重ねながら、1つずつ環境を整えていく必要がありました。

現在のA君の心境

「書けない」から「自分でできる」への変化

現在は、おおむね当初の予定通りに支援が進んでいます。

学校では、学校備品ではなく本人のタブレットを使用しています。

さらに、原学級の担任の先生がICT機器に詳しく、GoodNotesをAirDropで共有し、ノート提出までできるよう工夫してくださいました

これは弊社から提案したものではなく、担任の先生が自主的に考えてくださった方法でした。

もちろん、導入直後からすべてが順調だったわけではありません。

最初はなぜかGoodNotesが頻繁に落ちてしまい、A君自身もかなりイライラしていたそうです。

「便利だけど、急に使えなくなる」

そんな不安定さに戸惑う様子もありました。

原因を探っていく中で、無線キーボードとの相性が影響していたことが分かり、有線キーボードへ変更すると、少しずつ安定して使えるようになっていきました。

また、支援開始当初には、「前より書くのが大変になった」と話していた時期もありました。

それまでは待っていれば誰かが代筆してくれる場面もあったからです。

けれど、タイピングという方法を手に入れたことで、「自分で書く」ことに向き合う機会が増えていきました

今では、自分でタイピングをしてノートを取り、間に合わなかった部分や図は写真で記録しています。

時々、「今日はこんなのを書いたよ」 と見せてくれることもあります。

この一連の話は、単に合理的配慮によって、学校で便利な道具が使えるようになったという話ではありません。

「できないから助けてもらう」だけではなく、 自分で学習に参加できている、というA君の自信につながっているように感じます

【参考】

APPgoodnotes
goodnotesとは

合理的配慮の課題

一方で、課題も残っています。

例えば、統一テストではタイピングの利用が認められませんでした

そのためA君は、「これもタイピングでできたらよかったのにな」と話していたそうです。

この言葉からは「書くよりは楽になった」という思いに加えて、「タイピングなら自分の力をもっと発揮できるのに」という悔しさも感じられます。

合理的配慮は、日常授業だけではなく、評価場面まで含めて考える必要があります

しかし実際には、
「前例がない」
「試験運営上難しい」
「公平性の問題」
などを理由に、導入が進みにくい場面も少なくありません。

また、ICT機器を使えばすべて解決するわけでもありません。

機器トラブルがないこと、通信環境の良さ、操作スキル、周囲の理解、教師側のICT活用力、、、。

こうした条件が揃ってはじめて支援が機能します。

だからこそ今回のように、学校の先生方が柔軟に対応してくださったことは、とても大きな意味があったと思います。

合理的配慮の本当の意味

合理的配慮というと、「楽をさせること」「特別扱いだ」というイメージをもたれることがあります。

けれど、実際はそうではありません。

今回のA君の変化を見ていると、合理的配慮とは「できないことを免除する」ためだけのものではなく、「本人が自分の力で参加できる方法を探す」ためのものなのだと感じます。

・代筆ではなく、自分でタイピングする。

・全部を完璧に書けなくても、写真を活用して授業に参加する。

・困った時には相談して方法を調整する。

その積み重ねによって、「自分でできた」という経験が増えていきます

合理的配慮は、「甘やかし」ではなく、お子様の自立につながる支援でもあるのです。

まとめ

合理的配慮を進めることは、決して簡単ではありません。

学校側との調整、 ICT環境、周囲の理解、評価方法の壁、、、

さまざまな課題があります。

それでも、1つずつ環境を整えていくことで、お子様自身の表情や学び方が変わっていくことがあります。

「書けない」から、「自分でできる」へ

第4回のブログを通して、学校訪問を通じて合理的配慮を申請した実例を書かせていただきました。


これまでのブログ

【事例紹介①】書くことが極端に苦手なLD児|合理的配慮とタブレット活用で板書困難をサポート

【事例紹介②】保育所等訪問支援で見えた授業中の実態と支援の工夫

【事例紹介③】合理的配慮申請書の書き方&学校との合意形成プロセス|学習障害支援の実践ガイド


今回のA君の姿は、合理的配慮が 「自分らしく学ぶため」のものであることを教えてくれました。

その橋渡し役の1つになるのが「保育所等訪問支援」です。

保育所等訪問支援は、支援員が学校や園を訪問し、お子様本人への直接支援だけでなく、先生方への助言や環境調整の提案を行う制度です。

単に「困っている子への対応」を考えるのではなく、「子どもが集団の中で学びやすくなる環境」を一緒に考えていく支援でもあります。

実際には、

  • 本人はどこで困っているのか
  • どんな方法なら力を発揮できるのか
  • 学校現場で現実的に実施できる方法は何か

を、保護者・学校・支援者で一緒に整理していく必要があります。

合理的配慮は、「配慮してください」とお願いして終わりではありません。

お子様本人の困り感を整理し、客観的に状況を把握し、学校と丁寧に共有していく過程がとても大切になります。

そのため、弊社では保育所等訪問支援の中で、

  • 学校での様子の観察
  • 支援方法の提案
  • 合理的配慮についての整理
  • 必要に応じた検査結果の共有
  • 保護者様との振り返り

などを行いながら、学校生活のサポートを行っています。

「学校で頑張っているけれど、しんどさが見えにくい」
「合理的配慮をどう伝えたらいいかわからない」
「タブレット活用や学習方法について相談したい」

そんな方は、一人で抱え込まず、制度や支援機関を活用してみてください。


SOLEではご相談のみでも受け付けております。

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保育所等訪問支援について参考になる記事はこちら