目次
こんにちは。SOLE個別最適学習ラボ編集部です。
いよいよ小学校へ就学。
その際 発達に凸凹のあるお子様を育てられているご家庭から特別支援学級と通常学級(普通学級)のどちらを選べばよいか?というご相談を毎年たくさんいただきます。
うわさはたくさん流れてきますが実際はどうなのか、悩まれることも多いと思います。
特別支援学級・通常学級での支援体制は、学校や地域により様々ですが、それぞれにメリットデメリットがあります。
「子どものために慎重に検討したい」その思いは皆様同じでしょう。
今回は、特別支援学級と通常学級の違いや特徴についてご紹介します。
ぜひ参考にしていただき、お子様にとってよい選択ができるようにしましょう。
特別支援教育とは
特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです
文部科学省
以下、文部科学省が挙げている特別支援教育の現状を参考に簡単にご紹介いたします。
学びの場の種類と対応の障害
特別支援学校
【対象障害種】
視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)
特別支援学級
【対象障害種】
知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者
通級指導教室
【対象障害種】
言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者
通常学級
平成19年4月、特別支援教育が「学校教育法」に位置づけられてから今に至るまで、全ての学校で、障害のある幼児児童生徒の支援の充実を図っています。
令和5年3月の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告(概要)によると、「学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒:小中学校8.8% 高等学校2.2%」とあり、全ての学級に特別な教育的支援が必要な児童生徒が在籍している可能性があることがわかりました。
就学先の決定について
就学先については、市区町村の教育委員会が決定します。「その子自身にとって最もふさわしい教育を行う」という視点に立ち、教育学、医学、心理学等の観点から専門家の意見を聞いた上で、総合的かつ慎重に行われることが重要、と文部科学省は明示しています。
平成25年以前は、基準に該当する障害のある子どもは原則特別支援学校となっていました。
現在は最終的には教育委員会が就学先を決定するとしながらも、保護者から意見を聴く機会を増やしています。
市区町村が判定してから話し合いを行うケースや、保護者が申請を行ってから市区町村が最終決定するケースなど地域により差がありますが、本人や保護者の意見が最大限に反映されるため、事前によく検討しておくことが大切です。
就学先については、市区町村によって細かな手続きが異なってくるので、必要な書類は何か、どのような手順で申請すればよいかを確認しておきましょう。
中には用意するのに時間がかかる書類があります。
時間に余裕を持って連絡し、手順や提出書類などを確認しておくことが大切です。
発達障害かも?就学先の選択肢
小学校以降は「特別支援学校」「特別支援学級」「通級指導教室」「通常学級」という4つの就学先があります。
発達障害をはじめ様々な障害を持つ子どもにとって、それぞれの特性にあった就学先を選ぶことが大切です。
それぞれの就学先で障害がある子どもへ最適な方法で指導や支援が行われます。
「通常学級」「通級指導教室」「特別支援学級」は一般的な地域の小学校に設置されていますが、「特別支援学校」の場合は独立した学校になります。
特別支援学校
障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする学校です。
学校全体で特別支援教育を行っているのが特徴です。
メリット
・専門性の高い教員から支援が受けられる
・進学や就労に関する情報も集まりやすく、将来の選択肢の幅が広がる
・保護者に対するサポートも手厚く、負担が軽減されやすい
デメリット
・子ども自身が納得していないと、支援学校に通うことに抵抗する
・保護者が子どもの特性について理解できていなければ、指導内容について不満が出たりして子どもに負担をかけることになる
・手帳の取得など入学手続きが少しややこしい
公立校:特別支援学級
特別支援学級は通常学校にある特別な学級です。
小学校、中学校等において障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級です。
1学級あたり8名が標準ですが、全国の平均では3名となっています。
苦手なことをゆっくりできるようにしたり、得意なことを更に伸ばせるようにしたり、子どもの特性に合わせた授業展開をしてくれます。
呼び方は統一されておらず、養護学級、総合学級、なかよし学級、ひまわり学級など様々です。
メリット
・学習面はもちろん生活面でのサポートが手厚い
・苦手なことをゆっくり着実にカバーできる
・一人ひとりに合わせた支援計画の作成など専門性のある指導が受けられる
・休み時間も比較的自由に過ごせるので安心できる居場所になる
デメリット
・通常学級の友だちと関わる機会が減り、集団での過ごし方を学ぶ機会も少ない
・進度が遅くなる・網羅できない等、学習内容に偏りが生じやすい
・助けてもらうことに慣れてしまい、自分からヘルプを出せなくなる可能性がある
・評価が内申に反映されず進学先が限られる可能性がある
公立校:通級指導教室
小学校、中学校、高等学校等において、基本的には通常の学級で過ごします。
週に何時間かだけ通級指導教室に移動して、それぞれの困り事や課題に合わせた支援・指導を受けます。
必要な支援や指導の内容が個別で変わるため、障害の種類によって教室も複数に分かれています。
そのため、通っている学校に適した通級指導教室がない場合もあり、たとえば市区町村内の他の学校に行って通級指導教室に通うこともあります。
メリット
・障害に応じたカリキュラムで指導を受けられる
・自立に向けた生活面の困りごとを改善するための指導も受けられる
・基本は通常学級に在籍しているため、友だちを作りやすい
デメリット
・地域によって通級指導教室の学級数、受け入れ可能人数が異なり、あるとは限らない
・他校の通級指導教室に通う場合、保護者による送迎が必要になることがある
・通常学級との行き来がストレスになる場合がある
公立校:通常学級
通常学級は、基本的に1つのクラスに1人の先生がいるスタンダードなクラスです。
定型発達の子と一緒に授業を受け、行事にも参加します。
小学校、中学校、高等学校等にも障害のある児童生徒が在籍しており、個々の障害に配慮しつつ通常の教育課程に基づく指導を行っています。
既出のとおり、特別に教育的支援が必要な児童生徒は通常学級内の8.8%程度の在籍率となっています。
(※令和4年度通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について :文部科学省において、学級担任を含む複数の教員により判断された回答に基づくものであり、医師の判断によるものではありません。)
メリット
・定型発達の子と同じ空間で生活するため、将来的に社会生活を送る場合に最も近い環境で人との関わり方を学べる
・クラス内の一員として集団で物事に取り組む達成感を味わう事ができる
・合理的配慮が義務化されている
・インクルーシブ教育になり、双方にメリットがある
デメリット
・一斉指導で学習スピードが速いので、授業についていけないことが多い
・理解を得るのが難しく、クラスメイトとうまく関係が構築できないことがある
・担任が障害について詳しくなく、障害児も健常児も困る学級経営になってしまう
・成長過程で他の子とのギャップを感じ、辛くなることがある
特別支援学級か通常学級か選ぶときのポイント
就学先を選ぶうえで大切なのは、子どもが学びやすい環境か?過ごしやすい環境か?ということです。
子どもの一生に関することなので、少しでもたくさんの情報を知り、検討する必要があります。
「特別支援学級」か「通常学級+加配」かなど、判断に悩む方のために知っておきたいポイントを以下に3点ご紹介します。
⑴自治体相談・進路先の情報収集や見学
住んでいる地域によって、特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室の種類や数、入る条件は異なります。
特に発達障害はそもそも特別支援学級の対象にあたるのかも自治体によって異なります。
そして、校区内の希望の学校・学級に空きがない、ということもあります。
まずは、お住まいの自治体のホームページなどで、家から近くにはどのような学校や学級があるのかなどを調べてみましょう。
そのあと、1学級あたりの人数や先生の数、受けられる支援や周辺環境など細かいことを確認しましょう。
ここで、学区を超えての通学候補まで検討すると選択の幅が広がります。
選択肢として検討している学校に通う先輩の保護者に聞いてみたり公開授業を見に行ったりするのもおすすめです。
⑵子どもにとって必要な支援がうけられるか
子どもに合った環境を選択するには、子どもにとって必要な支援がどこであれば受けられるのかを検討する必要があります。
そのために、まずは子どもの特性を把握し、どのような支援や配慮があれば学びやすいのか、過ごしやすいのかを整理してまとめましょう。
少人数の方が自分のペースで落ち着けるのか、専門的なサポートが必要な子どもなのか、一方で、多くの子どもたちと同じ教室でコミュニケーションを取るほうが良い刺激になるのかを考えたうえで、学校や学級を選択しましょう。
大切なのは、ご家庭だけの意見ではなく、通っている幼稚園・保育園や療育施設の職員、医療機関などに聞いてみることです。
さまざまな人の意見を聞き、家庭以外での子どもの様子を知ることで子どもに合った環境探しができるでしょう。
⑶子どもが通いたいか
子どもの状況や必要な配慮と、実際に見学にいった学校・学級の様子や雰囲気を振り返って、子どもにどこに通いたいかをきいてみましょう。
最終的には、本人が通いたい場所であることが一番優先です。
最初は特別支援学級に在籍していたが、通常学級に移るというケースもあります。
また、その逆も可能です。
一度決めたからといって環境を変えられないわけではないので、成長に応じてどのような環境がいいのかをお子様と一緒に考えていくことが重要です。
・ ・ ・
文部科学省の特別支援学級及び通級による指導の在り方に関する論点(案)には今後の特別支援のあり方について地域別の状況とともに記載されています。
最近は東京都の「特別支援教室」のように通級担当教員がその学校に派遣されて、その学校内で指導を受けられる自治体も増えてきています。
2018年からは高校でも通級による指導が開始されました。
これからの特別支援教育のスタイルも時代とともに変化していくのではないでしょうか。
今までよりいっそう、教育や福祉に携わる人々の障害への理解と適切な指導のための知識が望まれていくと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は通常学級、特別支援学級の違いに加えて、通級による指導や特別支援学校についても簡単にご紹介しました。
お子さまの就学先には様々な選択肢があります。
保護者の皆様は、通っている幼稚園の先生や、医療機関に相談してどのような選択をするか決めることがあるでしょう。
もし、身近にいる人に相談して得た答えに、少しでも疑問を抱いたのであれば、別の専門家の方に相談したり、私たちSOLEに相談したりして、納得いくまで考えていただきたいです。
小学校という初めての場所に踏み出すタイミングだからこそ、一つの答えに固執せず、幅広い視野でお子様の将来に向き合ってあげてください。
このメリット・デメリットについてもっと詳しく知りたい等ございましたら、遠慮なくお電話いただければと思います。