個別最適学習ラボ

【事例紹介②】保育所等訪問支援で見えた授業中の実態と支援の工夫
【事例紹介②】保育所等訪問支援で見えた授業中の実態と支援の工夫

こんにちは。

SOLE個別最適学習ラボ編集部です。

本記事は「合理的配慮獲得までの実践事例」シリーズ第2回です。

第1回の前回(くわしくは「【事例紹介①】書くことが極端に苦手なLD児|合理的配慮とタブレット活用で板書困難をサポート」をご参照ください)、「読む力はあるのに書くことが困難」という特性をもつA君について、彼の背景と学習の状況をご紹介いたしました。

第2回の今回は、保育所等訪問支援を通して得られた学校での実態と、合理的配慮につなげるための具体的なSTEPをご紹介します。

保育所等訪問支援とは

保育所等訪問支援というのは、「発達に凸凹のある子どもが通う集団生活の場(保育園、幼稚園、小学校など)に専門の支援員が訪問し、保護者・施設との連携をもとに子どもが楽しく集団生活を送ることができるよう支援するサービス」です。

ここで強調したいことが「保育所等訪問はただ子どもを見に行くだけのサービス」ではないということです。

保育所等訪問支援には次の役割があります。

  • 子どもの実態把握
  • 学校・家庭・事業所の連携調整
  • 合理的配慮につながる提案
  • 継続的なモニタリング

つまり、きちんとした段階を踏んで、お子様にとってよりよい環境を提供するために意味のあるものにしなければならないということです。


保育所等訪問については、以下の記事もしくは画像をご参照ください。

障がい児通所支援(大阪市)

弊社では、お子様のもつ力を最大限発揮できる学習方法はどのようなものかを本人の現状から考え、学校、家庭と共有することを日ごろから行っています。

ご興味がございましたら、気軽にお問い合わせくださいね。

STEP1|4月訪問「顔合わせ」ー役割とねらい

4月の保育所等訪問は、新年度の先生方に交代したタイミングで行いました。

● 4月訪問の役割

  • 新しい担任の先生・支援級の先生・コーディネーターの先生との顔合わせ
  • 情報共有の窓口を明確化
  • 連携の土台づくり

● 4月訪問のねらい

  • A君の特性を正確に伝えること
  • 支援方針の認識をそろえること
  • 合理的配慮の検討を始めること

ここで私たちは学校と次のことを共有しました。

  • A君の書字の困難さ
  • 読み理解の高さ
  • テスト時の配慮の必要性

そして提案したのが「ひらがな解答の許可」です。

学校からは、

  • すでに漢字を強制しない対応を実施していること
  • ひらがな解答を認める方向であること
  • 個別の支援計画に明記予定だということ

との前向きな回答をいただきました。

STEP2|10月訪問「現状把握」ー役割とねらい

4月が関係づくりと土台づくりだとすれば、
10月の保育所等訪問は実態を具体的に把握するフェーズでした。

● 10月訪問の役割

  • 授業中の実際の様子を観察すること
  • 配慮や支援が「機能しているか」を確認すること
  • 追加の支援が必要かを判断すること

● 10月訪問のねらい

  • 支援が形骸化していないか確認すること
  • 本人視点の困難を見抜くこと
  • タブレット活用の必要性を検証すること

授業観察で見えてきた「A君の実態」

理科の授業観察で見えたのは次の姿でした。

  • 指示理解やタブレット操作は問題がないこと
  • 情報整理や書字の負担が大きいこと
  • 約10分ごとに集中が途切れること
  • 個別の声掛けで集中は戻るが持続性は低いこと
  • 本人だけで作成したスライドは「文字のみ」になっていること

以上のことから、「表現する方法」に負担が集中していることがわかりました。

学習障害(LD)やディスレクシアについて知りたい方はこちらを参照ください。

タブレット活用(ICT活用)の「ねらい」を前面に

観察を踏まえて私たちはタブレット活用の再提案を行いました。

単なる便利ツールとしての導入ではありません。

● タブレット活用のねらい

  • 書字負担の軽減
  • 情報整理の支援
  • 検索・資料活用の幅を広げること
  • 自己表現の手段を増やすこと
  • テストで実力を発揮できる環境づくり

タブレットを「できない」を補う道具ではなく「できる」を広げる道具として位置づけ、合理的配慮の申請を行うことにしました。

このタブレット導入の流れは、A君の特性に合わせた合理的配慮の検討・共有のプロセスそのものでした。

「合理的配慮」とは、個々の教育ニーズに合わせた 個別の調整・変更 であり、学校と家庭、そのほか関係している事業所等が協働して築いていくものです。

合理的配慮と保育所等訪問の関係

合理的配慮はただ申請書を書けば通るものではありません。

お子様の実態を把握し、家庭や学校と連携・協力して初めてお子様に合わせた提案ができるものです。

合理的配慮のSTEP

  1. アセスメント
  2. 訪問による実態把握
  3. 観察結果の整理
  4. 提案・再検討
  5. 学校との合意形成
  6. 実施・見直し

学習障害やLDのお子様を育てられている保護者様がよく「うちの子には難しいのでは?」とおっしゃられることがありますが、もしかしたら、学習の方法がお子様に適していないだけかもしれません。

弊社では、お子様に必要な支援を見極め、保育所等訪問を活用し、段階を踏んでお子様の環境を調整するお手伝いをしています。

次回予告

次回(記事第3回)では、合理的配慮申請書の中身と学校との合意形成プロセスについて詳しくお伝えしていきます。