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こんにちは。SOLE個別最適学習ラボ編集部です。
読み書きが苦手、数概念の理解が悪い、記憶力に遅れがある…等
お子様に知的な遅れはないものの、ある特定の課題に特性が見られる場合、「もしかして学習障害ではないか」と感じられる保護者様がいらっしゃいます。
今回は学習障害の特徴に加え、学習障害であると診断された場合、どのように学習をすすめていけばよいかの勉強法をご紹介していきます。
子どもの能力を最大限に伸ばせるような支援方法・ツールも解説しますので、最後までご覧ください。
学習障害(LD)とは
学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。
文部科学省
近年では、苦手さの部分が「限局的(限定的)」であることから、限局性学習症(SLD)とも表記されるようになりました。
学習障害について
学習障害には、教育的な立場でのLD(Learning Disabilities)と医学的な立場でのLD(Learning Disorders)の2つの考え方があります。
最近は健常児とは異なった学習アプローチをとるという点から、Learning Differences(学び方の違い)と呼ぶ人もいます。
【LD(学習障害)の教育的定義と医学的定義】
教育的定義では全般的な知的発達に遅れはないものの聞いたり話したり、推論したりする力など学習面での広い能力の障害を指しているのに対し、
医学的定義では「読み書きの特異的な障害」「計算能力など算数技能の獲得における特異的な発達障害」を指すことが多いようです。
学習障害の特徴
学習障害の目安は、学校での学習到達度に遅れが1〜2学年相当あることだといわれています。
主な学習障害の種類と特徴は以下の通りです。
読字障害(ディスレクシア):文字や文章の読みの困難
・似た字の区別がつかない
・促音(小さい「っ」など)を認識できない
・飛ばし読みや勝手読みがある
・音声情報のほうが理解が早い
など
書字障害(ディスグラフィア):文字を書くこと・文章を綴ることの困難
・鏡文字を書いてしまう
・誤字脱字が多い
・板書・書き写しに時間がかかる
・文字の大きさがバラバラになったり、マス目からはみ出したりする
など
算数障害(ディスカリキュリア):計算・推論することの困難
・簡単な数字、記号や符号を理解しにくい
・図形や位置、空間の把握が難しい
・数の大小がわからない
・ルールや規則を推測するのが難しい
など
✍過去参考記事はコチラ
→読字障害について
ディスレクシアかも?│読み書きが苦手な子どもの中学受験のポイントとは
→書字障害について
書字障害のトレーニングをする前に~漢字や文字が書けない理由を理解しよう~
書字障害のトレーニングってどんなもの?合理的配慮についても解説
→算数障害について
算数障害を抱える子どものための塾|算数に苦手意識をもつ子への支援とは
学習障害のお子様のアセスメント~指導・支援について
学習障害の主な特性に即した指導・支援を一部抜粋して紹介します。
(参考:「教育支援資料」平成25年10月.文部科学省より)
音読への支援
音読が苦手であるとき、聴覚的処理(文字を音声等に変換すること)に困難がある場合と、視覚的処理(視覚的な情報をとらえること)に困難がある場合があります。
聴覚的処理に困難がある場合…「はっけん」「ろけっと」を「○○○○」と捉えられるようにする等、音を視覚的にとらえる指導・支援や支援機器を使って音声教材を繰り返し聞く等の指導・支援を行います。
話しかけは音声言語の習得のモデルになるので、ゆっくり、はっきりと分かりやすく話しかけるようにし、本人が話す時もなるべくゆっくり、はっきり話すようにさせましょう。
視覚的処理に困難がある場合…文字単位ではなく、そのまとまりである単語全体としてとらえられるようにする指導・支援が有効です。
文字を拡大したり行間を広げたりするのもいいでしょう。
文章の理解についての支援
読解が苦手なとき、まずは関係する可能性のある要因を観察・検討してみましょう。
苦手な文字は「かな」なのか「カナ」なのか「漢字」なのかを観察して、何にどの程度困り感を抱いているのかみてみましょう。
単語の理解については、具体的な単語と抽象的な単語の理解に違いがあるか、助詞の理解に困難はあるのか等が分かるとどのような教材を用いるとよいのかが分かります。
また、文章については、長い文章の理解が苦手なのか、短い文章でも理解が困難なのか、文章の内容の把握ができているか、文章中の指示語の理解ができているか、説明文と物語文のどちらの読解が苦手かなどのつまずきの段階や要因を明らかにする必要があります。
その上で、文章や段落ごとの関係を図示する、重要な箇所に印を付ける、単語を増やす、文法の理解をすすめるなど、一人ひとりにあった読解のための手段を身に付けられるような支援を考えていきます。
文字の書きへの支援
文字を正確に書くことが苦手な場合、文字の形を思い出すこと(想起)ができないのか、細かい部分を書き間違えるのか、同じ音の漢字や形が似ているアルファベットと間違えるのかといったつまずきの要因を明らかにする必要があります。
その特性に応じて、漢字の成り立ち等の付加的な情報や、文字の意味付け、文章や文字をなぞり書きを指導・支援する方法、あるいはこれらを組み合わせた指導・支援を行います。
計算能力を高める支援
計算に困難さがある要因には、数の概念の未熟さ、記憶力の弱さ、視覚認知面の課題、思考力の弱さが考えられます。
これらを明らかにした上で、数概念の拡大や計算の手順の獲得をねらいとして、絵カード等の教材を活用して理解を進めます。
繰り上がりの考え方について具体物やイラストを活用したり、筆算の際にマス目のあるノートを使ったり、記号を用いて手順を示したりすることも有効です。
図形問題への支援
図形を含む課題が苦手な場合、視覚認知能力や空間操作能力、器具の扱いに困難があるなどいくつかの要因が考えられます。
その上で、間違い探し、回転課題、基本的な図形の学習、図形の特徴や操作を言葉に直す等の指導・支援を行います。
空間把握能力を高める支援
位置や空間を把握することが苦手であれば、身近な物の位置関係をどの程度把握しているかを明らかにする必要があります。
それから、ボディーイメージの形成や空間での位置関係を把握するために、学校周辺の地図を作成するといった実際に体験できる活動を取り入れたり、パズルや積み木模様の構成を行ったりします。
テトラcocoやSOLEでも、検査に基づいてお子様一人ひとりの困り感を見極め、お子様が最も学びやすい方法で学習プログラムを組んでいます。
もし、アセスメントや学習方法の提案にご興味がございましたら、無料相談も受け付けていますので下記からアクセスしてくださいね!
学習障害のお子様の勉強方法の例
学習障害のお子様の勉強方法は、学齢基準ではなく、お子様の発達段階に合った課題を設定し、特性に合わせた工夫をすることが大切です。
お子様が勉強につまづいていたり、困りごとがあったりする場合は、直接本人に「何に困っているか」を尋ねてみましょう。
読字障害のお子様
・定規を当てて読む
・文字単体で読む練習をする
・文節や単語で/を入れて読む
・読みやすいフォントで読む
・文字のサイズや行間を変えて読む
・イラストや写真のついたもので読む
書字障害のお子様
・なぞりの練習から始める
・マス目の大きいノートを使う
・筆記具を変えてみる(ホワイトボードに書く、筆で書く)
・補助線の入ったノートを使う
・漢字はパーツに分けて練習する
・漢字の意味から覚える
算数障害のお子様
・生活体験の中で数量をイメージさせる
身近な数を意識させ、「数える」「比べる」などから行う
・自分で覚え方ノートを作る
とくに、九九表など独自のルールがあるもの
・パズル・ブロックなどを使って具体物の操作、位置関係の把握、考える力の育成を行う
学習障害のお子様の学習支援ツール
学習障害のお子様を支援してくれるツールについてご紹介していきます。
勉強方法にお困りの方は一度お試しください。
アプリ・オンライン教材
・読むトレGO!
発達障害の第一人者として知られる平岩幹男先生が監修されたSWITCH用のアプリです。
3つのトレーニングをそれぞれゆっくりじっくり「苦痛なく」やることが大切です。
1つ目は文字を見て声で答えるトレーニング方法。2つ目は文字をまとまりとして読むトレーニング方法。3つ目は「音を聞いて」「文字を選択する」トレーニング方法
この3つで「読むこと」をトレーニングしていきます。
「読むトレGO!」のゲームソフトと専用マイクは、月額1980円でレンタルできます。いつでも自由に解約できるので、「1ヶ月だけ試したい」という利用もできます。
https://www.yomutore.net/dr-hiraiwa/
・eboard(イーボード)
NPO法人eboardが動画教材を公開しています。
一人でもマイペースで学ぶことができます。
「誰でも、どんな環境にあっても学ぶことをあきらめてほしくない」という思いから、 ご家庭でのご利用については、すべての映像授業・デジタルドリルを無料で利用することができます。
・怪盗ねこぴーの学習コンテンツ
小学校1〜6年生向けの教育コンテンツサイト。
インターネット上で手軽に学習ができるのが魅力です。
国語、算数、理科、社会と主要な教科をアニメを使ったゲーム感覚で楽しく学ぶことができます。
Youtube上の説明動画などもあり、基本的には無料で利用できます。
学習支援グッズ
・魔法の定規リーディングルーラー
魔法の定規は、読みたい文章の上にかぶせるだけで、
不必要な光の波長を遮断して、文を読むことの苦手さや、読書で目が疲れることなど、様々なビジュアルストレスを軽減します。
白地だと読みづらい人や読み飛ばしをしやすい人のための定規です。
読みやすい色が選べます。
複数行分あって、グラフなど範囲の広めのものにも使えます。
¥650(税込¥715)
https://www.saifuku.com/shop/magic-ruler/wide.html
・ナノピタ
ずれにくい定規のシリーズです。
100均やイオンにも滑り止め付きの定規があります。
裏返しても文字は裏返らないので、表でも裏でも測れます。
表と裏で、すべりどめON/OFFできます。
固定すると定規はピタッとズれず、裏返せばスライド自在です。
¥160円(税込 ¥176)
http://www.sonic-s.co.jp/pickup/4333
・カラーマスノート
高知大学医学部附属病院小児科の脇口明子先生と、言語聴覚士の永江拓朗先生が、ディスレクシアの子どものために考案しました。
マス目が4色に区切られているので、文字のアタリをつけやすいノートです。
学年ごとにお手本の文字が付いています。
¥385(税込・配送料別)
https://tobiraco.co.jp/item/colour_zen/
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は学習障害の特徴や支援方法、勉強を助けてくれるツールなどをご紹介しました。
学習障害のお子様の支援では、1人ひとりの学力に合わせて学習をすすめられることや、その子の特性に応じた支援方法を試すこと、スモールステップですすめていくことが重要になってきます。
そのためには何度も申し上げてます通り、「何に困り感を感じていて、つまづきの要因はどこなのか」を検討することが必要です。
もし、検査やアセスメントに基づいた学習支援をご希望でしたら、SOLEまで。
根拠に基づき、お子様に最も適した学習方法をご提案させていただきます。
「支援級で取り出されるほどではないが、学習の困り感をきいてほしい…」というお悩みだけでもぜひ!
経験のある職員がご家族のニーズとお子様の状態をヒアリングし、将来を見据えたアドバイスをさせていただきます。